どくりょー。
素直に、いい本だなーと思った!
「障害者のリアルに迫る」という東大のゼミで、実際に障害者のゲスト講師を呼んで授業をしてもらい、それについて学生たちがそれぞれどう思ったかを書いている、っていう内容!
こちらのゼミでは障害者も学生たちも、一切のタブーや綺麗事をなくして、オープンに語り合っている模様。
なので某「愛は地球を救う」みたいな、そういった内容は一切なし。
だからこそ、学生は「死のうと思ったことはないんですか?」なんて質問をするし、講師は「楽しいことなんてないんですよ」って話をしたりもする。
この授業を受けた学生たちの感想は様々で、「障害者だって自分と同じだ」と思う人もいれば、「障害者の抱えるものはわかったけど、自分がどうしたらいいかまではわからない」という結論の人もいる。そのあたりがリアルというか、正直だと思った。
一番驚いたのは、学生たちがあまりにも赤裸々に自分の心の内側……弱かったり醜かったりする部分……を語っているということ。
自分の中にある人を見下す気持ちや、なかなか打ち明けられない精神的な問題など、普段は心の中で蓋をして押し殺してるような部分まですべて開け広げて書いてある。
ゲストの講師による生々しい体験談は、それだけ学生たちに影響を与えたってことなんでしょうね。
そんな素直な言葉だから、読んでいてすっと胸に染み入ってきた。
この本を読んで感じたのは、障害者だからどうこうっていう話じゃないんだなってこと。
私たちは小さい頃から「障害者を差別してはいけません」「障害のある人には優しくしましょう」と刷り込まれてきたけど、それが逆に障害のある人を「障害者」という括りでしか見られなくしているんだと思う。
本当は「障害という特徴を持った一人の人間」として接するべきなのに。
人にはそれぞれ年齢の分だけ積み重ねてきたものがあって、思い出がある。感情や感覚があって、好き嫌いもある。
それは生まれつき障害のある人も、あるときから障害者となった人も、あるいは障害を持つ子供の親となった人も、みんな同じ。
「障害者である前に人なんです」という講師の方の言葉があったけど、本当にその通りだと思う。
東大生だってそう。
障害者というレッテルがマイナスに働くのとは反対に、東大生という肩書きは社会的にとても有利に働く。
確かに彼らは東大生であり、ある意味ではブランドものに近い存在なのかもしれない。
でも、ここに出てくる学生たちはみんな「東大生という生き物」ではなくて、弱い部分を抱えた等身大の若者だった。
正直にいえば、私は別にこの本を読んだからって何かが変わったわけじゃない。
「障害者」という部分だけを切り取ってその人のアイデンティティとするのは正しくないということは強く感じたけど、それだけ。
私の身近には障害者はいないから想像することしかできないし、実際明らかな障害を抱えた人が目の前に現れたら、ちょっと身構えてしまったり、咄嗟に目をそらしてしまうというのが本音。
それでもこれを読んだことが無駄ではなかったと思うのは、この本にはいろんな人の脆い部分が詰まっていて、それが自分の心の琴線に触れたから。
障害者だって、東大生だって、私だって、みんなそれぞれの世界でもがいたりあがいたりしながら生きてんだなって、そう感じられただけで良かった。
私は普段は小説ばかり読んでるけど、たまにはこういうノンフィクションもいいなって思ったよ。
書き手が優秀な学生っていうのもあって、文章も構成も上手で、すごく読みやすかった。
それほど厚い本でもないから数時間で読み終わるし、少しでも気になると思ってくれたならぜひ手に取ってみてほしい!
……読書感想文なんて中学校以来書いてなかったから、すごい難しいな><