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【読書感想文】「トラペジウム」(高山一実)エッジの効いた表現と青春の眩しさにくらくらする一冊

 

多方面で話題の小説「トラペジウム」、やっと読めました!

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トラペジウム /KADOKAWA/高山一実

 

なんといっても書いてる人がすごい。乃木坂46のかずみんこと、高山一実ちゃんです\(^o^)/すごい!現役アイドル!

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高山 一実|メンバー紹介|乃木坂46公式サイト

 

以下感想文。ネタバレあります。乃木オタ補正もたぶんあります(ノ∀`)

 

 

10秒でわかるあらすじ

アイドルになりたい主人公の女子高生が、あと3人かわいい女の子を集めてちゃっかりアイドルデビューできる機会をうかがっていく話。

 

 

作品の感想

青春の眩しさに満ちていた(*´ `*)

私はもともとこの作品のあらすじを知らなくて、なんとなくアイドル関連の話ということしか知らなかったんだけど、アイドルものというよりも真っ向から青春小説でした。

 

主人公はアイドル志望の女の子なんだけど、アイドルを目指す女の子ってこんな感じだよねーっていうイメージにぴったり!

パワフルで、したたかで、正攻法でダメなら裏道を探ってでも進む抜け目なさを持っていて、目標に向けてはどこまでも熱く真っ直ぐだけど、必要でないことには意外なほどドライだったりする。そんな女の子。

強さと賢さを持った子だからきっとアイドル界でもやっていけるだろうなーと思う反面、人気が出るかは微妙なタイプな気も……そしたら案の定ブログのコメントがメンバーで一番少ないと嘆いていて、やっぱりなーと思ってしまった\(^o^)/

 

主人公が割と普通な子の分、他の三人の女の子はめちゃくちゃキャラが濃い。漫画やアニメのようなキャラ付けで、もしや既に実写化狙いなのでは……というのは考えすぎかな><

わかりやすい展開といい登場人物といいフィクション感が強いんだけど、等身大の女子高生らしい部分も多々あって(なんだかんだとフードコートでだべっていたり、「ごはんとスマホはどっちかにしなさいと」お母さんにたしなめられたりw)、そういうところにもクスっとした。

 

読み進めてもなかなかアイドルとしてデビューする話にならなくて、もう残りのページ数が少ないよーと思っていたら、終盤になって一気に上手く行ってびっくり><

まあ、何かひとつチャンスを掴めたらあとはとんとん拍子で転がっていくというのもある意味リアルかもしれない。そして割と早い段階でいろいろ破綻しちゃうのも。

グループとしては成功しなかったけど、各々が幸せな道に進むことはできたというラストもまた青春のほろ苦さで良き良き(*´ `*)

 

とはいえ、この作品の面白さは物語やプロット云々よりも、語り手の文体にあると思う。

主人公が心の中でいろんなものに毒づいてるのが面白い!斜に構えた物の見方が楽しい!

ちなみに私が一番好きなフレーズは「角膜レベルでの変態は救いようがない」です\(^o^)/

 

これは個人的にだけど、小説を読む楽しみは、内容云々よりもキラっと光るような素敵な表現に出会えることにあって。

その点この作品はパンチの効いた表現が多くて、読んでいてとても楽しかった!

 

小説としてはちょっと荒削りな部分も多い印象で、時々混乱したところもあるんだけど(突然別の人物の独白が入ったり、時間が急に飛んだり、ひとりの人物に呼び名が二つあったり……)、25歳の女性の処女作と考えると末恐ろしいほどのパワーを感じる(´∩ω∩`*)

作家さんとして、これからもっとたくさんの作品を書いてほしいなーと思います!

 

 

乃木坂46のファンとしての感想

かずみんってすごいんだな、というのが率直な感想(ノ∀`)

乃木坂の中では喋れるタイプの子というイメージだったけど、物書きとしてもこんなに才能のある子だったとは!

それにただでさえ多忙な乃木坂ちゃん。中でもかずみんは単独でテレビに出たりすることも多いし、写真集の発売も控えているし、書き上げるのはきっと大変だったでしょう><

 

これは持論なんだけど、物を書くとき、心の綺麗な部分だけを寄せ集めて形にしたって、絶対に人の胸を打つことはできないと思っていて。

誰かの心に届くものを書きたいと思ったら、どうしても自分の中の醜い部分や恥ずかしい部分と向き合って明かしていかなければならないものだと思ってるのね。

 

だから、イメージを売る職業の究極みたいな存在であるアイドルの彼女がこれを書くのは、とても勇気がいることだったんじゃないかなぁ。

ましてやアイドルを題材にした作品だし、ファンや周りから「かずみんってこんなこと思ってるの?」と思われてしまうリスクもあるわけで。

作中で主人公が「高専の男ってだいたい童貞くさいよね」的なことを言っているけど、もしかしたらかずみんファンのうちの何パーセントかは血の涙を流しているかもしれない( ;∀;)

 

それでもこんなに熱量のある素敵な小説を仕上げたのは、きっと彼女に「良い作品を書きたい」という強い想いがあったからなんじゃないかなと思う。かずみんすごい!(`・ω・´)

 

あと、乃木坂ちゃんのファンとしては、この子のモデルはあの子かなー?なんて想像する楽しみもあった( * ॑˘ ॑* )⁾⁾ 

くるみちゃんはみなみちゃんっぽいなーと思いながら読んでた。主人公は美月ちゃんかな……と思ったけど髪型補正かな(ノ∀`)

 

 

まとめ

アイドルが書いたアイドルを題材にした本、というとアイドルに興味がない人には食指が動かないかもしれないけれど、そこを差し引いても「面白い文章を書く作家さんが現れたよ!」ということを私は伝えたい(`・ω・´)

 

青春のきらめきにそっと目を細める、10年前は女子高生だったはずのアイドルオタクなのでした(*´ `*)