新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」観てきました。
とても面白かったです。なんというか、すごく完成されてたね。
人の温かさと未来の肯定を描いた、素敵な物語だったと思います。
冒険モノとしてのドキドキ感もあり、走る椅子や喋る猫といったコミカルな要素もあり。
話のテンポも早く、演出もダイナミックで、とにかく飽きさせない作りになっていました。
新海作品の最大の持ち味ともいえる映像美は健在ながらも、廃墟や燃える街、空を蠢くミミズ(可視化された災害の予兆とでも言えばいいのかな)といった「美しくない」風景の描写が多かったのが、今作の特徴のように思います。
ちゃんと救いのあるお話だし、映画として隙のない完璧な仕上がりになっているので、万人におすすめできる作品です。
映像と音楽がとても良いので、興味がある方はぜひ映画館で観たらいいと思います。
ただ、作品のテーマとして震災を扱っているので、その辺がダメな方は無理しない方がいいかも。
緊急地震速報の音はわかっていてもビクッとするよねぇ(´・ω・`)
※ここからネタバレ及びめんどくさいオタクが発生します。
……とね、ここまで書いてきたことは、もちろん本音ではあるんだけどね。
ちがうんだよ!!!!!私が新海誠に求めてるものとは!!!!!
なに普通に面白い映画作ってんだよ!!!こんなん誰が観たって面白いでしょうが!!!
新海作品はねえ!もっとフェティッシュであるべきなんだよ!!!
もっとこう……雨の新宿御苑の東屋で年上のお姉さんの足型を取るような、そういう倒錯をくれよ!!!
新海誠は……新海作品は……もっと拗らせた性癖と繊細な感傷に満ちているべきなんだよ……(´;ω;`)
それを踏まえて今作で一番良かったシーンは、スナックですずめが椅子に座るところ。ここですわ。
何故ここをもっと掘り下げない???
「来世は椅子になって美少女の全体重をお支えしたい」なんて全てのキモオタが一度は想像したことがある要素でしょうに(?)、さらっと軽く流しやがって><
あっもちろんすずめが椅子を踏み台にするところも良かったです。
それになんですかあのラストは。
スーパーハッピーエンドじゃないか!!!
世界は救われた。すずめは過去を乗り越えて成長した。観客はニッコリ。こんな三方よしの三店方式があってたまるか!!
なに最後ちゃっかり再会してんねん!!あなた本当に「いつでも捜しているよ……どっかに君の姿を……」っていう映画を作った人ですよね!?(´;ω;`)
もうさあ……なにやら世間には立教大学教育学部の芹澤朋也くんに情緒をめちゃくちゃにされた人が多いらしいけど、私は新海監督に対するクソデカ感情を拗らせて情緒がめちゃくちゃですわ。どうしたらいいの(´・ω・`)
でもねぇ、なんやかんや言っても、すごく好きなところもあるのよ。
なんといってもダイジンがかわいい。
最初はこの子が悪役なんじゃないかと思ったし、「まどかマギカ」のキュゥべえみたいとも思ったけど、本当はとても優しい子だったね。
よく考えたら処女作が「彼女と彼女の猫」の新海さんがネコチャンを悪者にするわけないしな。新海誠を信じろ(?)
あと好きだったのは、パーキングエリアですずめと叔母さんが口論したあと和解するシーン。
叔母さんが言った「でも、それだけじゃないんよ」って台詞。すごく誠実だと思った。
もっとフォローするような言い方や、観客を泣かせにくるような言い回しをすることだってできたはずなのに、余計なことはなにも言わずに抱きしめるの、この上なく最適解だと思う。
私が新海さんの作品を好きなのは、こういう余白や行間が素敵だからなんだ……( ˘ω˘ )
思うところも多々ありつつも、今作もいい映画だったとは思ってるしね。
でも当分2回目はいいかな。というか、ダイジンが「あんたなんか!!」ってされるシーンがつらくてちょっと見たくないです(´・ω・`)ネコチャンだいじに。