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【読書感想文】細木数子がガチのヤクザだった件。「細木数子 魔女の履歴書」

 

細木数子 魔女の履歴書」を読みました。

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細木数子魔女の履歴書 /講談社/溝口敦

 

細木数子さんといえば、六星占術で一世を風靡した占い師。

テレビで「あんた死ぬわよ!」とかなんとか怒鳴り散らしていた姿が記憶に残っている方も多いはず。

 

普段はこういうゴシップみたいな本って読まないんだけどね。

なぜ読んだかといえば、著者がヤクザルポライターの溝口敦さんだったからです。

 

しかしどうして溝口さんが細木数子さんの本を……?と疑問に思ったんだけど、読んで納得。

細木数子さんは普通にヤクザでした\(^o^)/

 

戦後の時代背景や生まれ育った環境もあれど、女子中学生の時分から売春の斡旋で荒稼ぎしてたっていうんだから只者じゃない。

そこからまあ……管理売春はするわ、カモになりそうな人のことは骨までしゃぶりつくすわ、霊感商法で墓石は売りつけまくるわ……枚挙に暇がない悪逆無道の数々。

ヤクザ界隈でも幅を利かせてて、若い子分に指を詰めさせたことまであるっていうんだからおっかねーですわ。

 

そうそう。あの六星占術っていう占いだって、全部人から丸パクリしたものらしいですよ。

占いの勉強なんてほとんどしてないらしいもの、そりゃ当たるも何もないわ\(^o^)/

 

ところで、ヤクザって格好よくてなんぼの世界だと思うのですよ。

反社会的組織の人間に美学を見出すことの是非はさておき、どこかで人に憧れられるような要素が必要というか。

 

彼女にはそれが全くないんですよね。

ただただ強欲で自分の私腹を満たしたいだけ。権力を握りたいだけ。

おまけにあまり賢くないようで、すぐに見え透いた嘘をつくし恨みも買う。まずくなったら怒鳴って脅して黙らせる。

したたかではあるけど、浅はかでもある人だなーと。

 

でも、それってある意味すごいと思うのですよ。

持ち前の強欲さも、より大きな力を求める上昇志向も、人を利用することをなんとも思わない精神も、一種の才能なんじゃないかって。

昭和の男尊女卑が根深かった時代に、「ヤクザの女」ではなく自身が「女ヤクザ」として生き抜いてきたっていうのも強いなーって思う。

 

私なんかすごい小心者な小市民だから、そういうの絶対できないもの。

たぶんその方が「いい奴」なんだとは思うけど、私は絶対に大成しないしお金持ちにはなれないだろうなって自分のこと思ってます。

とはいえ彼女の所業は1ミリも良いとは思わないし、決してお近づきにはなりたくないですけど( ´_ゝ`)

 

あとね、これは著者の溝口さんも書かれてましたけど、彼女のことを持て囃してテレビに出したりしていたメディアが悪いと私は思いますね。

テレビで強気に振る舞う彼女を見て、「あの人なら私を導いてくれるかも……」って思っちゃう心の弱い人や頭の弱い人は確実にいるの。

だからそうやって大々的にカモをあぶり出すような真似をしているメディアこそ罪が深いし、非難されて然るべきだと私は思います。

 

溝口さんの著書はこれまで何冊か読んできたけど、ここまで怒りを露わにした文章は初めて読みました。

そりゃ不当な訴訟も起こされてるし、暴力団を使って手を回そうともしてきてるんだから当たり前ではあるんだけど。

普段は理知的な文章を書かれるし、対談ではちょっとチャーミングな印象すらある溝口さんが「目障りな女」「下品な女」とボロクソに書いているのが面白かった……と言ったら失礼にあたるかな><

 

最近図書館が閉まっているからKindle Unlimitedに入ってみたんだけど、溝口さんの本もいろいろ読み放題で読めるので非常にありがたいです。

自粛生活は読書が捗るのでとても良い……このまま一生自粛していたい……( ˘ω˘ )