りずろぐ。

ぬるくやわらかく

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【読書感想文】ドラマティックでちょっと切ない「生き物の死にざま」

 

ハリウッド映画でありながら、日本の侍や武士道を描いた「ラストサムライ」という映画。

クライマックスの「死にざまを教えてほしい」「生きざまをお話ししましょう」というやりとりに、当時中学生だった私はまんまと感銘を受けた記憶があります。

 

さて本題。

稲垣栄洋さんの「生き物の死にざま」という本を読みました。

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生き物の死にざま /草思社/稲垣栄洋

 

とても面白かったです(結論)

 

こちらはタイトルの通り、いろんな生き物……哺乳類から微生物まで、さまざまな生き物の最期の様子が紹介されている本です。

まあ紹介されているうちの半分かそれ以上は繁殖を終えたら死ぬ生き物なので、ある意味「生き物の殖えざま」ともいえるかもしれない。

 

もうね、ハサミムシのメスの最期なんて涙なしには読めませんからね(ノ∀`)

昆虫のほとんどは基本的に卵は産みっぱなしで放置なんだけど、ハサミムシは産んだあとも卵に覆い被さって守ったり、時には空気を当てたり舐めてあげたりと甲斐甲斐しくお世話をするんですって。

 

そうやってひと月ふた月、自分は飲まず食わずで卵を守り続けて、いざ卵が孵るじゃない?

そしたらね、今度は生まれてきた幼虫たちに、自分の体を食べさせるんですって(´;ω;`) 赤ちゃんたちは自分で餌を取れないから……(´;ω;`)

 

ぼ、母性〜〜〜!……というわけではなく、これが種の保存に最適だからそうしてるんでしょうけどね。せっかく孵った幼虫たちに死なれたら、これまで卵を大事に守ってきた意味もなくなっちゃうし。

 

逆にえげつないなーと思ったのは、シロアリの女王アリの話かなー。

"女王アリ"なんて名前だからやんごとないご身分のように思えてしまうけど、実際は卵を産み続けることしかできないただの産卵係だからねぇ(´・ω・`)

 

シロアリさんたちはその場にある餌を食べ尽くしたら集団でお引越しをするんだけど、女王アリは自分で歩くことすらできないから、働きアリたちに運んでもらわないといけないんですって。

でも、その女王アリの卵を産む能力が弱っていたら……働きアリたちは女王アリを運ばないんだそうな。

 

容赦なく見捨てていく働きアリ。代わりに女王の座につく副女王アリ。用済みの烙印を押され、ただひとり取り残される、卵を産めなくなった女王アリ……他人事とは思えなくて泣きそうですわ( ;∀;) いや完全に他人なんだけどね、シロアリだし( ;∀;)

 

いろんな生き物の話を読んでいると、虫でも魚でもみんなガチで繁殖に命かけてるんだなって思います。

自分が長生きすることは二の次三の次で、とにかく自分たちの子孫を残すことが全てなんですね。

だから交尾や産卵のためなら危険を顧みずに行動するし、そもそもオスなんかは交尾を終えたらすぐ死ぬようにできている生き物も多いんだとか。

 

人間の目線で見るとめちゃくちゃだな!って思うけど、彼らからしたら「ヒトってひとつの個体が死にそうになったら他の個体が手を加えて生かそうとするんだってー。繁殖するわけでも幼体を守るためでもないのに変なのー」なんて思うのかもしれませんヾ(・ω・`)

 

私はペットとして爬虫類ちゃんたちを飼っていて、彼らを見ていてもよく感じるんだけど、その生き物にはその生き物の文脈があって生きてるんですよね。

彼らには彼らの秩序や正しさがあるわけだから、そこは尊重しなければいけないし、人間の傲慢さで振り回すのはいけないなーなんてことをよく考えます。

 

こうしていろんな生き物のことを知ることは、自分の視野が少しずつ広がっていく感じがして好きです。

"ヒト"と"ヒトではない生き物"を比較して見ていくことで、人や社会のこともよりフラットに見られるようになる気がします。人間として人間社会で人間ばっか見ながら生きてると息詰まってくるし\(^o^)/

 

この本はひとつの種類につき数ページ程度で紹介されているので、とてもさくさく読めました。

そして著者さんの書き方が上手wwどれも文学的かつドラマティックに描かれているから、まるで短編小説のよう(ノ∀`)

 

軽く読めるのに内容はとても面白いのでおすすめです( * ॑˘ ॑*  )⁾⁾

ぜひお手に取っていただいて、食用のニワトリのページを読んで、一緒に「もう鶏肉食べられないかも~~〜><」ってなりましょう。ファミチキください!(無慈悲)