りずろぐ。

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【読書感想文】世の中はちゃんと変わっている「生活者の平成30年史」

 

生活者の平成30年史 データでよむ価値観の変化」という本を読みました。

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生活者の平成30年史 データでよむ価値観の変化 /日経BPM(日本経済新聞出版本部)/博報堂生活総合研究所

 

博報堂の統計の本です。グラフがいっぱい\(^o^)/

ただ、一般的に統計というとお金や人口なんかの客観的事実が扱われることが多いのに対して、この本は平成の30年間で人々の意識や価値観にどのような変化があったのかという内面的な部分にフィーチャーしています。経済観とか、家族観とか、そういうの。

 

データとして見てみると、改めて今は「個」の時代になったんだなーと思います。

「周りと比較するよりも自分がどう思うかの方が大事じゃない?」とか、「結婚したくないなら無理にする必要もないんじゃない?」とか、「家族であってもその前に個人として尊重されるべきじゃない?」とか。

私がなんとなく肌で感じている世の中の風潮とも一致するし、個人的にもそういった考え方には共感できる部分が多いです。

 

面白いなーと思った部分をいくつか挙げますと……

この30年、世帯収入はほぼ横ばい(共働き世帯は大きく増えているのにね><)であるのに対して、家計貯蓄率は1985年の16.2%から2016年には2.2%にまで下がってしまったのだそう。

あわせて消費者の消費意欲も過去最低まで下がっているし、夢や希望を感じられている人も着実に減っているのだそうな。

 

それでも、生活レベルについては自身を「中流」だと思っている人が8割半ばなんですって。しかもこの数値は30年前からずっとほぼ変わりなし。

経済的にあまり豊かではない実感はありつつも、みんな貧しくなっているからしょうがない、という感覚なんですかねヾ(・ω・`)

 

一方で、日々の暮らしの中で「楽しいことが多い」と感じている人は年々増えているみたい。

将来にあまり大きな期待が持てない分、身の回りにある日々の慎ましやかな楽しみへの感度が高まってるのかなーなんて思います。私もそんな感じです。

 

あとは結婚に関してですかね。

生涯未婚率が男女とも年々上昇しているのはご存知の方も多いかと思いますが、結婚満足度でいうと「結婚してとてもよかった」と感じる人が増えてきているようです。

 

その背景には、夫婦や家族の在り方に多様性が出てきたこと、かつての「家族は皆でひとつ」という考え方から「家族であっても一個人の集まり」という考え方に変わってきていることなどが要因としてあるそうな。

これまで婚活界隈の話を聞くたびに「そこまでして結婚したいもんかねー」なんて思っていたんだけど、データで見るとちょっと納得してしまいますね(ノ∀`)

 

これは一見良いことのように思えるけれど、結婚したくてもできない人にとっては「分断」になってしまうのかなぁなんてことも思います。

誰もが結婚する時代ではないからこそ、結婚できた人は勝ち組で、持てる者と持たざる者に分かれてしまうのかなとか……とはいえ私としては結婚しなくても全然おkな世の中の方が余程気楽だと思うけど(´・ω・`) 人と人とのことはむずかしいですね。

 

この本で一番大きな驚きがあったのが、最近の子供に関すること。

私は子供もいないし昨今の教育事情って全く知らなかったんだけど、今どきの子供ってこんなにいい子たちなの?:(´◦ω◦`):

 

今の子供は授業時間の増大や習い事などでとても忙しいにもかかわらず、大きな不満を持たず、親や先生に反抗もせず、友達は多く、お小遣いは貯金し、気になることは人に聞く前に自分で調べる子たちらしいですよ。いい子すぎません?:(´◦ω◦`):

いじめの経験(する方でもされる方でも)がある子や補導される子供の割合なんかも、近年では大きく減っているようです。

ほんと、今どきの子供は穏やかでお利口さんが多いんですねぇ。

 

私は平成生まれなので平成と令和しか知らない身ではあるんだけど、それでも自分が子供の頃と比べると、世の中ってちゃんと変わっていってるんだなぁという実感は確かにあります。

そして、個人が尊重される世の中になりつつあることを、私としてはとても好ましく思っています。物心ついた頃から「みんなこうしてるんだから」と言われることがずっと疑問だったししんどかったから。

 

きっとこれからも世の中は変わっていくんでしょうね。

特に私は昨今の子供事情にびっくりしたので、この子たちが世の中を導く世代になる頃には、今は想像できないような価値観の変化があるのかもしれません。

ま、そこは上手に擦り合わせてやっていくのが良いのでしょう、たぶん。

 

この本は厚さでいったらそこそこのボリュームがあるけれど、グラフがたくさんな上に文章も平易に書いてくれているのでさっくり読めました。

改めて数字で見ることで発見できることもいろいろあるし、何よりシンプルに面白いのでおすすめです( * ॑˘ ॑*  )⁾⁾

 

ただ、あくまで平成の30年間の話ですからね。

令和になり、例のウイルス騒ぎの渦中にある今だと、またちょっと違った変化も生まれていそうです。