2013年に公開された「言の葉の庭」というアニメーション映画。
「君の名は。」で一躍有名になった新海誠監督の作品です。
以前は新海監督といえば「ほら、秒速5センチメートルの」「あっ(察し)」だったのにね\(^o^)/
写真以上に写実的で、文章以上に文学的なこの作品。私の大好きな映画のひとつ。
今回読んだのは、映画公開後に発売されたノベル版「小説 言の葉の庭」。まあまんまなんだけど(ノ∀`)
こちらも新海監督ご自身が書かれたものです。
3行でわかる「言の葉の庭」のあらすじ
- 靴職人を目指す高校一年生の男の子孝雄と、スーツ姿で缶ビールを飲んでいる謎の女性、雪野。
- 雨の新宿御苑で出会ったふたりは、雨の日の午前中だけ新宿御苑の東屋で共に過ごし、次第に仲が深まっていく。
- 偶然か必然か、あるとき孝雄はユキノが何者なのかを知って……
言うて、ストーリー性はそんなにない。情緒や空気感を雰囲気で感じるための映画。決して「秦基博さんのPV」などと言ってはいけない。
46分という短い作品なので、もしご興味があればぜひ観てみて!映像がすごく綺麗だから!
小説版もベースとなる内容は同じ。ただ、映画よりもずっと詳細に書かれてます。そのあたりも含めて後述していくっ。
てことで、以下感想文!
ナチュラルにネタバレしていくので、これから観る、読むという方はご注意を><
語り手が多い!登場人物が多い!
映画では孝雄と雪野の関係だけにフォーカスされていて、それ以外の人物はみんな端役。
それが小説だと、章ごとに語り手が変わる。孝雄の兄、雪野の元恋人、孝雄にぶん殴られた上級生女子……
だから群像劇としても楽しめるし、周りから見た主人公やヒロインが描かれることによってキャラクターの掘り下げにもなっていたり。
映画では舞台装置でしかない脇役たちも、みんな思い悩みながら生きていて、ちゃんと作品中の世界で息づいてる感じがした。誰だってみんな何かしら抱えているものだよねヾ(・д・` )
映画より詳細な孝雄と雪野の人物像
映画では明かされなかった設定がたくさん\(^o^)/
雪野がそこまで超絶美人キャラだったとは思わなんだ……!
映画だとずいぶん大人びていて落ち着いて見える孝雄も、ちゃんと年相応に子供っぽいところもあってなんだか安心(ノ∀`)
孝雄がしっかりしてるのは母<女なお母さんの影響なんだなーとか、バイト先の中国人の先輩から刺激を受けたんだなーとか、靴に興味があるのは昔からだったんだなーとか……そういう裏付けが明かされることによって、キャラに深みが増したような。
映画では孝雄目線で進んでいくけど、小説だと雪野の視点も見られるから面白い。
それこそ昔から美人すぎることで悩んでたり(言ってみたい)、教師を目指すきっかけとなった古典の先生のことだったり。
雪野の人となりがよくわかった分、彼女がいかに追い詰められていったかもよくわかった。体育教師となんか付き合うもんじゃないな!(偏見)
ちなみに、この映画でもっともフェティッシュなシーンであるところの、孝雄がスケッチブックに雪野の足型を取る場面……小説版でもとてもいい感じでした(・∀・)
映画にはなかったハッピーエンド!
5年後に再会したんですねぇぇぇぇぇ(*゚▽゚*)
映画では手紙のやりとりと「いつか会いに行こう」って感じで終わりだったけど、本当に会えたのね!よかった!
孝雄はフィレンツェで留学してて、雪野は地元で教師を続けてて……「あの人も32だし、プロポーズくらい何回かされてるかも……」なんて思いを馳せる孝雄が微笑ましい(´∩ω∩`)
映画も一応希望のあるラストではあったけど、小説の方がよりハッピーエンドだったので良かったです(小並感)
良くも悪くも、雪野に共感してしまった
そもそも雪野がチョコレートをつまみながらビールを飲んでいる時点でわかりみしかなかったんだけど(後に彼女が味覚障害であることが明かされてファッ!?ってなった)、偶然にも私も彼女と同じ27歳。おまけにメンタル弱めなところもあって、彼女には共感できるところが多かった。
映画だと雪野のそういうナイーブな部分や、何気ない時間を過ごすことで癒されていくところ、孝雄のまっすぐさに惹かれていくところなんかに「わかるなー」って思いながら見てた。だからこそクライマックスで孝雄が叫んだ言葉が胸に刺さったり。
でも小説だと、もうちょっと悪い意味で共感しちゃった。
良くも悪くも雪野は大人なんだよね。孝雄から見たら尚更。彼女は弱々しい人でもあるけど、ずるい人でもあるなって。
「俺、雪野さんのことが――好きなんだと思う」に対して「――雪野さんじゃなくて、先生、でしょ?」なんて、これほど最低な返し方もないよね(ノ∀`)
けど、大人になるとこういうのってよくあるじゃない。
答えを出さないまま関係を続けた方が居心地が良かったり、悪意はないにしろ相手の好意を知ってて利用しちゃったり……こういうことって自然と覚えていくものの気がするけど、一体いつ、どうやって学んだんだろう。
おとなになるってかなしいことなの\(^o^)/
だからこそ正面からぶつかってくる孝雄や、先輩にみっともないまでに翻弄される祥子(牧野先輩はこの作品きっての救いようのないドクズ)がなんだか眩しく思えたりして。
ただし、祥子が雪野を目の敵にする流れは何回読んでも全く共感できません( ºωº )
まあでも、実際人が人に抱く感情なんて、存外こんなふうに理不尽だったりするものかもしれないね。
12歳差の恋愛ってどうですか?
夢があると思います!(°∀°)
孝雄が15歳。雪野が27歳。
……あかんな。軽く犯罪入ってるな。事案扱いされても文句言えんわな/(^o^)\
27歳と39歳だったらまあありえるラインかもしれないけど、15歳はまずい。未成年はまずい。でも夢はあると思います!(°∀°)
そういうの抜きにしたとしても、この年の差はあり?
対等に付き合えるものなのかねー。私だったら保護者目線で見ちゃいそう\(^o^)/
それとも、愛とか恋とかってのはそんなものをも越えてしまうものかしら。よくわかりません。でも夢はry
結論:映画を先に観よう!
小説は映画の補完として読むものだと思いました\(^o^)/
もちろん小説だけでもちゃんと楽しめるようになってるけど、小説だとあんまりこの作品の良さが出てないかな……というのが正直なところ。文章が説明的だからかな(´・_・`)
でも、男子高校生からそのお母さんまでいろんな人の視点で物語を書けるんだから、小説を書く人ってのはやっぱりすごいなーと思った(小並感)
恋愛モノって映画でも小説でも実はあまり好きではないんだけど、新海さんの描く人々の心模様は繊細で好き!
どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから。
って台詞が、この作品の全てを表しているように思いました( ˘ω˘ )
余談:テッシーとサヤちんがおるやん!
「君の名は。」におったやん!(*゚▽゚*)
といっても、勅使河原とサヤちんって名前なだけで全然別キャラだけどね。特にテッシーはビジュアルも違うみたいだし\(^o^)/
「君の名は。」の映画にもさり気なく雪野が出てるよね、先生役として。
時系列も何も合わないからただのファンサービスでしょうけど、こういうのがあるとちょっと嬉しくなっちゃう、そんなオタ心( *´艸`)